2015年度の立正佼成会一食平和基金宮城県復興支援事業「復興まちづくり協議会等事務局ステップアップ助成」に申し込み頂きました、石巻市の石巻仮設住宅自治連合推進会に、助成金を取得するに至った経緯と、助成金を取得した後の状況について、会長 増田 敬様よりお伺いいたしました。
仮設住宅における課題解決に向け、外部団体の協力を得て5団地の自治会役員協議のもと自治会間の情報交換・連携を行う組織として2012年設立。地縁組織教会や団体の協働推進、コミュニティの維持・融和、移転後のコミュニティ形成など多様な活動を展開。「自治連だより」を発行。
復興まちづくりの記録が組織基盤のもとになった
助成金活用後の地域との関係について
石巻仮設住宅自治連合推進会(以降、自治連)では、①研修・視察、②自治連広報冊子の制作、③事務局用会計ソフトの購入に本助成金を活用しました。視察・研修の成果は、早速2016年度に視察先の福島の団体の協力によりワークショップを実施し、津波被害と地震被害の違いなどを学ぶこととなりました。
広報冊子は、各方面からの視察対応の際に自分たちの活動を伝える道具として活用する機会も多く、熊本地震で支援に出かけた際もこの冊子をお渡ししたところ、役立つ資料として活用したいと喜ばれました。当時はこのような広報冊子を作成するために使える助成金がなかったので、自分たちの活動の記録を残すうえでも、今後の防災・減災のための資料としても、価値のある支援となったようです。
現在は仮設住宅の集約化が進められており、集約された後の仮設住宅入居者の支援も行っています。復興公営住宅に移ってきた人の中では閉じこもりの人を引き出すサークル活動も行われており、自治連が集会所の鍵を管理しながら支援しています。一方で無償のサービスは自立心を削ぐことになるので、少しでも参加費を払ってもらい「買いたい衝動」を促す工夫をしているそうです。自分たちの経験を別の被災地の支援に役立てたいと、熊本地震の被災地にも出向くなどしています。
今後は、仮設住宅から移り住んできてからの自治連の取り組みのプロセスをまとめた第2弾目の冊子を作成することも検討しています。
石巻仮設住宅自治連合推進会の活動の軌跡
今後の課題
仮設住宅よりも移り住んだ先でのコミュ二ティづくりは難しく、引きこもりやすいという住環境のデメリットがあります。また、戸建てと集合住宅のマッチングも難しいところです。集合住宅支援がどうしてもメインになりがちですが、イベントによっては戸建ての住居者にも参加してもらう工夫が必要とのことです。
ステップアップした点とこれから
視察・研修をもとに組織体制を整備し、任意団体である「石巻仮設住宅自治連合会」をもとに、「一般社団法人石巻じちれん」を立ち上げました。蛇田地区の集会所の管理・運営を任され、施設利用者の調整・マッチングを行うようになりました。会計事務などを行える事務局体制が整ってきました。
助成金事業の内容
ワークショップ参加(法人基盤強化)、会計ソフト導入、広報誌冊子化
れんぷくから見た石巻仮設住宅自治連合推進会の助成金活用について
れんぷくの関わり
石巻の住民コミュニティの復興は途上にあり、同団体は仮設住宅での支援に加えて、復興住宅での支援も行っています。現在れんぷくは石巻仮設住宅自治連合推進会の本拠地である新蛇田地区の自治会立ち上げ支援や住民コミュニティ向けの助成金や研修会での活動を通じて、一緒に石巻地区のコミュニティ新生のプロセスのサポートをしています。
助成金活用を検討している方へのポイント
助成金をうまく活用して、組織の事務局の基盤整備を行うとともに、組織の成り立ちやその活動の記録を冊子にすることで他地域での災害支援や視察対応に対応できるツールを制作したことです。先を見越した助成金活用の仕方は今後の新たな活動計画に活かされることだと思います。