応援隊・支援員インタビュー「土と風‐地域を耕す人びと-2014-」  Vol.5仙台市若林区

六郷・七郷コミネット副会長・髙橋悦子さん(64) 〔プロフィール〕1950年3月生まれ、仙台市出身。NPO法人「冒険あそび場」─せんだい・みやぎネットワーク副代表理事。同2013年6月から六郷・七郷コミネット副会長。 仙台市若林区復興応援隊・工藤紀子さん(27) 〔プロフィール〕1987年5月生まれ、秋田県出身。2012年10月から仙台市の臨時職員として、仮設住宅の集会所管理業務に携わる。2013年5月から仙台市若林区復興応援隊の業務として六郷・七郷コミネット事務局スタッフを務める。 支援団体を支える仕事 「裏方の裏方」に徹する 悩みを聞き出し、解決につなげる ─活動の内容について教えてください。 髙橋さん 「六郷・七郷コミネット(以下六七コミネット)は、若林区六郷・七郷地区の被災者が元のコミュニティや普通の暮らしを取り戻すまで、継続的に支援することを目的に2011年6月に発足しました。NPOや企業、大学など約30団体が緩やかに連携し、サロン・交流事業、情報発信事業など3つの事業に取り組んでいます」 工藤さん 「若林区復興応援隊は現在3人が在籍し、六七コミネットの事務局スタッフを務めています。私はサロン・交流事業の主担当です」 髙橋さん 「サロン・交流事業というと、仮設住宅の住民を訪ねてお茶会を開くというイメージを持たれるかもしれません。そうではなく、六七コミネットに参画している団体を対象に、情報を交換したり、悩みを聞き出したりする場を設けています。そこから行政やほかの団体につなぎ、情報の発信や課題解決を目指します」 ─六七コミネットの活動に携わることになったきっかけは何ですか。 髙橋さん 「私が副代表理事を務めるNPOは、若林区井土にあった海岸公園冒険広場の指定管理者でした。広場も被災しましたし、広場に来ていた子どもたちや住民の安否も心配だったでした(?)。震災直後から支援を続けるうち、支援者を支援したり、全国と地域をつないだりする役目が必要だということになり、有志が集まって六七コミネットを発足させました」 工藤さん 「私は震災後、被災者の力になりたいと思い、若林区にある仮設住宅の集会所の管理人になりました。実際は大した役に立てず、無力感があったのですが・・・。それでも住民の方に『話を聞いてくれるだけでいい』と言われて。仕事を続けるうちにやりがいを感じるようになり、このまま被災地の活動に関わりたいと思っていたころ、知人から応援隊の仕事を紹介されました」 幅広い出会いに感謝 ─応援隊の活動を初めて、どんなことを感じましたか。 工藤さん 「私は仮設住宅のお手伝いをしたいと思っていたのですが、実際はなかなか現場に行くことがありません。最初はがっかりしました。ですが、その分、全国から訪れるさまざまな支援団体の方と出会い、幅広いつながりができて。人と人のつながりの大切さを強く感じています」 髙橋さん 「自分が直接仮設に行って支援活動できると思ってたのよね」 工藤さん 「はい」 髙橋さん 「それは甘い(笑)。その活動を支えるのが仕事だと、私から工藤さんに言ったことがありました。私は六七コミネットの活動が若林の復興に意義を与えると確信しています。応援隊の3人には、復興を支える仲間としてこの時期を一緒に乗り越えてほしい。わたしの対応は厳しいかもしれませんが、工藤さんは逃げ出さずにしがみついてきますからね。期待しています。何より心が優しく、笑顔がいい(笑)」 ─応援隊の存在は、周囲にどんな影響を与えていると思いますか。 髙橋さん 「復興の大きな力になることは間違いありません。被災地で動く若者がいる。その姿を見ることで被災者はだいぶ励まされたと思います。実際、工藤さんが仮設を訪ねると、『よく来たね』と喜んで迎える人がいる。無機質になっていた被災者が笑顔になり、一瞬でも輝く力を取り戻す。それが気力につながっていきます」 「これからも、被災地に関わる」 ─若林区の現状と今後の課題を聞かせてください。 髙橋さん 「支援を受けた被災者の中には、気力を取り戻し、自分自身で動き出そうとしている人もいます。その意味では、良い方向に向かっているのではないでしょうか。一方、災害公営住宅への入居が始まるなど、仮設住宅の住民が次の住まいに移る段階です。仮設への個別の活動が難しくなってくることなどから、六七コミネットは2015年3月に活動を終えることになりました。ですが、『3度目のコミュニティーの崩壊』を迎えるこの時期だからこそ、私たちはこれまで以上に支援の必要があると考えています。4年間の活動を通して培ったつながりを生かし、それぞれの団体が役割を担えるよう支援していく。そのための新たな形を模索しています」 工藤さん 「応援隊は、若林区で活動している団体を一軒ずつ訪ね、現在の活動の状況や課題のヒアリングを行いました。六七コミネット終了後、どのような形であればニーズに応えられるのか、望ましい形について聞き取りしたところです」 髙橋さん 「六七コミネットの活動終了と同時に、若林区復興応援隊の活動も終わります。ですが、この若い力を何らかの形で生かしたい。どのような形になるかはまだ分かりませんが、力になってほしいというのが正直な気持ちです。応援隊のメンバーは震災から復興という大変な時期に、被災地や六七コミネットの活動に携わった携わりました(?)。さまざまな出会いが財産になっているはずです。経験を生かして、自分自身の道や生き方を見つけてほしいですし、被災地や住民とつながっていってほしいと思います」 ─工藤さんの目標は何ですか。 工藤さん 「今後も被災地や住民のみなさんに関わっていきたいです。応援隊でなくなったら、住民のプライバシーにどこまで立ち入っていいのか分からないという迷いはありますが、顔見知りになった方々と長く付き合っていきたい。まずは周囲とのつながりを大切に、応援隊の業務を最後まで全うします」 (以上) 2014年12月取材

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