2015年度、2016年度の立正佼成会一食平和基金宮城県復興支援事業「復興まちづくり協議会等事務局ステップアップ助成」に申し込み頂きました、名取市の閖上地区まちづくり協議会に、助成金を取得するに至った経緯と、助成金を取得した後の状況について、代表世話役 針生 勉様よりお伺いいたしました。
名取市閖上地区において復興事業への住民意見反映のため、行政の呼びかけにより住民意見交換会を開催。準備会を経て、2014年設立。会議(世話役会、部会)を重ね5回のまちづくり提案を行う。ホームページ・広報誌による活動内容を発信。
人口1万人のまちを目指して、新しい閖上を創るチャレンジ
助成金活用後の地域との関係について
当初は、行政からの呼びかけによって立ち上がった「閖上地区まちづくり協議会」ですが、閖上住民主導のまちづくり協議会として、週1回ペースで会議を開き活発に活動しています。今年度は、「商業・賑わい」をテーマとした石巻市中心市街地への視察と、「街並み・コミュニティ」をテーマに、女川駅前と石巻の集合災害公営住宅への視察を会議に参加しているメンバー以外の地域住民にも参加してもらい実施しました。
また、2017年6月には区画整理をした地域に移り住んできた住民もおり、コミュニティサロンの実施予定を変更。アンケートを実施し、地域コミュニティを形成するためのきっかけ作りに取り組みました。アンケートの対象者は、仮設住宅からの転居による第1期の住民で、①環境の変化による課題、②生活上の課題、③高齢化による課題といったことなど、現状の住まいの課題だけにとどまらない設問を作成し、1戸づつ訪問配布により実施しました。このアンケートの狙いは、「新しい閖上の新しいコミュニティづくりを推進するため、住民の実態をリサーチすること」でした。
まちづくり協議会としては、現在2000人を想定している閖上地区の人口を5倍の1万人を目指して活動したいと考えています。「地域復興の状況や自治体の政策や体制の違いによってまちづくり協議会の動きは異なる。故に組織を支援してもらう内容も、タイミングも異なるし、ゴールのタイミングも異なる」と考えているそうです。自立した組織体制を確立するために、最も力を入れて支援を求めるところは、人材であり人件費です。ハードからソフトへと閖上の地域コミュニティづくりが進む中で、より多くの住民参加による話し合いの場をつくり、一方で行政との事前協議を密にとってまちづくりを進めていきたいと事務局は考えています。
閖上地区まちづくり協議会の活動の軌跡
今後の課題
まちづくり協議会の拠点が街中に欲しいと考えていますが、まだ「まち」そのものができない段階では難しく、検討中です。組織の連携体制構築のための合意形成の場づくりが必要と考えており、事務局運営の人件費に助成金が必要となっています。
ステップアップした点とこれから
役員・事務局の再編・強化に取り組み、規約の変更を行い、会員対象を広げました。今後は、事務所の設置、復興まちづくりの情報発信拠点の設置、他団体との連携により「防災炊き出し訓練」の実施などを実現したいと考えています。
助成金事業の内容
コミュニティサロン、意見交換会の実施、備品の購入(役員ユニフォーム)、先行地区視察(岩沼市、石巻市など)
れんぷくから見た閖上地区まちづくり協議会の助成金活用について
れんぷくの関わり
れんぷくは、住民が主体となって行う復興まちづくり活動に対して宮城県や民間会社が行う、補助金・助成金事業の事務局を行っています。閖上地区はこれからまちづくりが本格化するため今後も多方面でより深く閖上地区まちづくり協議会と関わることになると思います。
助成金活用を検討している方へのポイント
閖上地区まちづくり協議会では、主体的に地域の復興状況に合わせて、災害公営住宅入居者に対する個別ヒアリングアンケートを実施しています。アンケート内容も現状の課題にとどまらず地域への関わりを意識してもらう質問を作るなど工夫をしています。また訪問配布することで顔の見える関係ができ新たなコミュニティづくりのきっかけになりました。