2015年度の立正佼成会一食平和基金宮城県復興支援事業「復興まちづくり協議会等事務局ステップアップ助成」に申し込み頂きました、丸森町の筆甫地区振興連絡協議会に、助成金を取得するに至った経緯と、助成金を取得した後の状況について、事務局長 吉澤武志様よりお伺いいたしました。
震災以前1978年、丸森町筆甫地区における地域の諸問題解決、地域づくりを実践する団体を設立。地区計画策定や公民館指定管理業務を行ってきたが、震災後から放射能被害や元気作り・交流事業などの震災対応活動を実施。地域広報誌を発行。
地域の未来を拓く人づくりに投資する助成金活用
助成金活用後の地域との関係について
2015年度の本事業での目的は、地域に希望の持てる新たなビジョンづくりと地区の担い手育成でした。震災より停滞している地域をもう一度活性化させるために「新たなビジョン」を若者たちが作成し、実践してもらいたいというのが狙いでした。
50万円の助成金で外部講師を招き、若者の人材育成(20代から30代)に取り組みました。参加者の意見交換の機会を作り出す場が必要であると考えて、当初の計画を変更し、ワークショップを6回から8回にするなど、継続的な取り込みにしたことは効果的だったようです。
2016年度は、この成果として自発的に動く若い人が誕生しました。日常的に若い人たち同士でワークショップを行ったりということが始まりましたし、地域の人も若者を応援するという動きが出てきました。そのような自主的な動きを大切にしたいと考えて、2年目も引き続き助成金を使って活動をすると、事務局の責任が重くなると思いあえて手をあげませんでした。
地域の役員の世代交代もこの地域では、今後の地域経営を考える上で重要なことです。そこで、役員改選期にむけて、3、4ヶ月前から「一甫会」を立ち上げて、40代・50代が役員の空白地帯になっていることを協議会事務局から伝えました。このように事務局が自治組織の運営の対策を提案するなど、筆甫地域の住民自治力を上げるためにも、事務局が力をつける必要があります。そのためにも時代を担う若者たちが地域に関わる機会を作る必要がありました。この助成金を得たことで、これからの事務局体制の強化と地域課題解決にむけて動く人材が見えたことは大きな成果になっていると思います。
筆甫地区振興連絡協議会の活動の軌跡
今後の課題
地域活動の担い手不足は喫緊の課題です。住民の地域経営の意識がまだ低いこともあり、その意識改革が必要です。その課題を住民自らが見つけて解決するというスキルが不足している点も今後取り組みたいことの一つです。
ステップアップした点とこれから
今まで地域づくりに関わることのなかった若い世代の住民がワークショップに参加する体験を通じて、積極的に地域の取り組みについて意見を提言するようになるなど、良い効果が現れています。
助成金事業の内容
ビジョンづくり(事務局ファシリテーション研修、地域診断、視察研修、ワークショップ、勉強会、合宿、冊子化、発表)
れんぷくから見た筆甫地区振興連絡協議会の助成金活用について
れんぷくの関わり
総務省が設定する地域創造・再生を目的とした復興支援員の活動サポートとして災害以降「ともに歩む」感覚で交流してきました。最近では自立した自治組織=筆甫の考えを深めるため、ローカルコミュニティの運営・経営の取組みの一つ「小規模多機能自治」を一緒に勉強・推進しています。
助成金活用を検討している方へのポイント
数年先を見越しての人材育成を、助成金を活用して行うことは、とても効果的です。人材育成により、その人たちが地域づくりの担い手になるという今回のプロセスを今後の地縁組織の仕組みに取り入れられるとより効果的だと思います。